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世界家庭医機構WONCAアジア太平洋地域大会(韓国・釜山)でACPの講演をしました!

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活動報告
2025/4/29

2025年4月24日から27日にかけて、韓国・釜山で開催されたWONCA(世界家庭医機構)アジア太平洋地域大会に参加しました。アジア太平洋地域に限らず、世界45カ国から家庭医が集まり、非常に活気に満ちた大会となりました。日本からは約50名が参加し、学生や研修医の発表もあり、国際学会における日本の存在感を強く示すことができました。

私は日本プライマリ・ケア連合学会(JPCA)の代表として理事会に参加し、また、Young Doctors' Pre-conferenceにも出席しました。各国の取り組み報告の後には、若手医療者が家庭医療における研究テーマについて活発に議論するワークショップが行われ、各国の若手家庭医のエネルギーと情熱に触れることができました。

私の発表のメインは、"The Practical Aspects of ACP (Advance Care Planning) in Action" というセッションで、台湾、韓国、日本の3カ国におけるACP(アドバンス・ケア・プランニング)と終末期ケアの取り組みについて報告しました。

台湾や韓国では、ACPやAD(事前指示書)が法制化されており、台湾ではACP外来で、患者、家族、医療者が1時間をかけてじっくりと話し合い、事前指示書を作成する取り組みが進んでいます。特に治癒の見込みがない疾患に対しては保険適用も行われています。2021年に発表された「Quality of Death Index」では、台湾は世界3位、韓国は4位、そして日本は24位となっています。

私の発表では、日本におけるACPの現状と課題、浜松市で開発された人生会議手帳、ACPリーダー養成プログラム、そして急性期医療と地域医療・在宅医療との連携モデルに関する進展を報告しました。特に、他国の聴衆からは、浜松市の人生会議手帳を参考にしたいという声もいただきました。

また、韓国や台湾の先生方は、家庭医として緩和ケアを専門にした多くの優れた研究を行っており、非常に実りある交流を深めることができました。素晴らしい研究者とのディスカッションは、私にとって非常に貴重な経験でした。

次回のWONCA世界大会は2025年9月にポルトガル・リスボンで、アジア太平洋地域大会は2026年3月にフィリピン・イロイロシティで開催されます。ぜひ、若手家庭医の皆さんにも参加し、学術発表や交流を通じて新たな知見を得ていただきたいと思います。

                                    地域家庭医療学講座 井上真智子

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