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メハリー医科大学で実習をした6年生の学生さんの体験談です!

学生の活動
2024/7/9
米国ナッシュビルでの実習報告
私は、米国ナッシュビルにて、「プライマリケア・スポーツ医学」の実習を2週間行った。実習内容は、Dr. Johnsonが代表を務める Advanced Sports Medicine というクリニックにおける外来見学が中心であった。ここでは、小児から高齢者、アスリートまで幅広い患者さんが、痛みや動かしにくさなどの整形外科的な問題を抱えて来院していた。他にも退役軍人病院へ外来見学に行くこともできた。退役軍人の医療費は基本的に国によって賄われており、アメリカでは軍人が非常に敬意を持たれているとわかった。
実習を通じて、以下の3点が印象的であった。

1.治療について
肩関節や膝関節の炎症などに対して積極的に注射(ステロイド+キシロカイン)を行っていた。日本のように湿布を患者さんが求め、医療者が処方することはなく、注射かNSAIDsの内服によって抗炎症を図っているのが異なっていた。そして、痛みの軽減を図った上で運動療法を促しており、非常に効果的な流れだと感じた。例えば肩関節のインピンジメント症候群は運動療法が効果的であるが、痛みがある状態では十分に動かせないことも考えると、まずは、注射等で炎症を取り除くのは良い方法であると学んだ。

2.身体診察について
Dr. Johnsonは患者が疼痛や張りを訴えると、その部位に関連した身体診察をスムーズに行い、原因を迅速に絞っていた。これは身体診察の原理を理解し、繰り返し行ってきた成果であると思う。自分も、それぞれの疾患に特徴的な検査(特に今回の実習で学んだもの)をスムーズにできるように勉強していきたい。

3.医療従事者について
PA(=Physician Assistant)が現場で活躍されていた。医師と同じように自分で問診をとって診断・治療を行っており、裁量権の大きさを感じた。


一点残念であったのは、アスリートが活動する現場の医療を見られなかった点である。元々、アスリートのイベントに参加する予定が組まれていたが、中止になってしまった。

 この2週間で「プライマリケア・スポーツ医学」に初めてじっくり関わることができ、外来にて患者さんの整形外科的な困りごとを幅広く解決していており、” 手術をしない整形外科医 ”というような印象を受けた。また、ヘルスメンテナンスも行っており、その点では家庭医の一つのサブスペシャリティーであると感じた。日本で家庭医療の実習を行った際にも、整形外科的問題を抱えている患者さんは多く、「プライマリケア・スポーツ医学」は日本でも需要が高い領域であり、自身の将来の選択肢の一つとなると思った。
 実習以外ではキャリーケースの脚が壊れるなどの小さな問題から、滞在先を移動しなければならないという大きな問題まで発生した。異国の地で、満足にコミュニケーションを取れない中で対応するのはなかなか大変なことであったが、問題解決能力が鍛えられたいう点で大きな経験となった。

医学部医学科6年 山下 裕人 

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