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ミシガン大学で実習をした6年生の学生さんの体験談です!

学生の活動
2024/6/27
ミシガン大学家庭医療実習を終えて
・実習の体験談
今回の実習ではリボニアヘルスセンター、ドミノファームズでの外来見学を中心にレジデントカンファレンスやグラウンドラウンドへの出席、外来プリセプティングの見学とスポーツメディシン外来の見学を行いました。
 ミシガン州には日本人の駐在員が多く、ミシガン大学家庭医療科のスタッフも日本人もしくは日本語が通じる方がたくさんいらっしゃるので、外来で日本人が受診した際の診察は全て日本語で行われていました。外来と言っても、日本のように経過観察中の疾患があり薬の処方を目当てに受診される患者さんよりも年に1回の健康診断目的で受診される方が非常に多かったです。
 健康診断では初診の患者さんでは1時間近くかけ、それ以外の患者さんも20分から30分ほどかけて細かく診察を行っていました。診察もすぐに身体所見を取るのではなく、問診を中心に患者さんの抱えている問題やワクチン接種、健康上のアドバイスを非常に丁寧に行っていました。
 また、クリニック内でできる治療も幅広く、スポーツメディシンではエコーガイド下の関節内注射を行い、その他にも精管切除術や粉瘤の摘出手術も行っていました。
 その他に看護師が薬の処方をすることができる、ワクチンの接種は予約無しで薬局の薬剤師が打つことができるという日本との違いも数多く経験しました。

ミシガン大学
リボニアヘルスセンター

・学び
アメリカでは患者さんがまず受診できるところはER(救急)、家庭医、Urgent care(救急疾患では無いが、応急的に治療や処方が必要な際に受診)となっており、専門医を受診するためには基本的には家庭医などからの紹介が必要となります。その中で家庭医はいわゆるかかりつけ医としての役割を果たし、あらゆる疾患をみる外来のエキスパートとされています。家庭医はPCP(Primary Care Provider)と呼ばれますが、患者さんの病歴、家族歴、アレルギー歴、内服歴、医療上の課題点、家族構成など全てを把握しています。定期検診を毎年行い、それぞれの患者さんに必要なワクチン接種の推奨、生活指導、予防医学やがん検診を行うことが主な仕事となっています。
 日本では例えば喘息があった場合は呼吸器内科に通うことが多いですが、その患者さんに湿疹が現れたときは皮膚科へ、不正出血などがあったときは婦人科へと患者さん自身が病院を選んで症状に応じて受診することが一般的です。この場合、「かかりつけ医はどの医師ですか?」と聞かれたときに返答に困ることになると思います。これは国内の家庭医療クリニックにおいても同様であり、森町家庭医療クリニックで実習を行った際に「骨折したところは整形外科で診てもらっています。」という症例を経験したことがあります。アメリカでは骨折して手術をしたあとでも退院後のフォローは基本的には家庭医が行うことが多く、担当の患者さんの健康を守るという大きな役割を果たしていると学びました。

・感想
日本とアメリカでは医療システムも大きく異なるため、どちらがより優れているとは一概には言えないように思います。しかし、家庭医として患者さんにどのように向き合うべきか、専門医を気軽に受診できる日本だからこそ家庭医はどのように予防医学に取り組むべきであるかを考える非常に有意義な実習を行うことができました。
 大学を卒業して初期臨床研修を終了した後に家庭医療の道へ進む予定ですが、それをより後押ししてくれる貴重な2週間でした
クリニック内には日本語で書かれた旗などが掲げられていました
診察室
・後輩へのコメント
 家庭医療を志している場合、日本とアメリカの家庭医療の違いについて身をもって経験することで将来のキャリアのイメージや患者さんとの接し方を見つめ直すことができる貴重な機会となります。ぜひ、積極的に留学に挑戦して家庭医療に対する新たな発見をしてみてください。
医学部医学科6年 野尻 颯人

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