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ナラティブアプローチの奥深さ:CIC

活動報告
2024/3/8

2024年1月より月1回、John Launer先生によるconversations inviting change(CIC)を学ぶ機会を頂いています。北は北海道から、南は九州まで、CICに関心を持つ総合診療医が多く参加しています。浜松医科大学総合診療プログラム(静岡家庭医養成プログラム)からは指導医の綱分先生と私(鳴本)が参加し、非常に奥深い学びを得ています。

 Launer先生は、英国の家族療法(family therapy)のスキルを持つgeneral practitionerであり、同時に医学教育の専門家でもあります。2023年には、浜松医科大学でnarrative medicineの講義を、森町家庭医療クリニックではCICの実演を行って頂いています。
 このCICは、“ナラティブ アプローチ”を基にしており、その時に相手(ナレーターと言います)が語る”ナラティブ”を聴きながら、即興で考える質問を投げかけることで、相手が省察を行うスペースを創り、相手の中で“変化”を促進するような会話のことを指します(現時点での私の理解です)。このCICは、医療面接や医学教育など、様々な場面で実践できます。

2月のセッションでは、初めてCICの実践練習を行いました。
その実践の中で、以下の要点の重要性を実感しました。

・ナラティブ(物語)は流動的であり、繰り返されたとしても全く同じものはない。
・ナラティブは、聴き手と共同で創られるもの(co-creation)である。つまり、聴き手(聴く人や聴いた時の反応など)が変わればナラティブも変わる。
・投げかける質問は、その時のナラティブの中で出てきたものが良い(定型文は無い)
・ナラティブに対する「解釈」はできるだけ行わないようにする。

理解することは簡単ですが、いざ実践してみると…
ナラティブに応じて、解釈を避け、即興で浮かぶ短文で簡潔なオープンクエスチョンを投げかけることがこんなにも難しいとは思いもよりませんでした。
 
CICの理解とスキルは非常に奥深いと同時に有意義であり、日々の診療や教育で意識して実践してみようと強く感じるようになりました。受講させて頂ける機会と支援に感謝しています。
地域家庭医療学講座 鳴本敬一郎

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